-麻雀用語誕生逸話-
雀用語の中の寧波方言について、寧波麻雀博物館の資料では以下のように記されている。
昔から発達していた寧波の航海業は麻雀の整理統合と深くかかわってきた。帆船時代、七つの海で航海を無事に行うのは、並大抵なことではなく、総ては風次第であった。
陳魚門の麻雀用語の作成にあたっては、地元主要産業である航海業と日常生活が密接な関係があることに由来した事が多かったという。 (理事 栗原道男)
[索子牌]・・船のロープと漁網に起源。
[筒子牌]・・船上の水や食料を入れる樽に起源。
[萬子牌]・・船上生活者の財や富への切望に起源。
[風 牌]・・海運、漁業者などの風に対する敏感さに起源。
[碰]・・・・船が衝突しあう事。
[停・(聴)] 船が帰港する事。
[麻雀]・・・スズメのこと。船上でスズメを見ることが出来れば陸地が近づいた証拠。
これに対し、内陸の蘇州出身者の友人に聞いてみると、麻雀用語は農業に由来して生まれたことが多いという。
[索子牌]は竹であり、一索は竹林に住む鳥「麻雀」(すずめ)である。
もしロープが語源であるならば。英語訳でrope だが実際の呼称はbamboo(竹)で図柄も竹の節目を表している。
[筒子牌]は樽ならばbuckets だが circle(輪、筒)である。これは鳥が農作物を食べてしまうので、害鳥駆除の銃口の筒を表している。北京や大連など北方では主食の焼餅の形に似ていることから「餅子牌」と言う。
[中]「白」[發]については、鉄砲が獲物に当たれば的中の[中]、外れは中国語で白なので「白」、当たれば獲物が手に入り、儲かるので[発財]の[発]とした。
その他、北京や西安などでの「後宮美女由来説」も面白い。
始皇帝の阿房宮には数千人の美女がいた。その出身地別に「東・西・南・北」に分けた。
更に、肌の色で、雪のように白い肌は白令美の「白」、薄緑色の透き通るような妖艶な肌を緑発とし「發」、牡丹や桃花の紅をさしたような美女、紅中を「中」とした。
更に、豊満美女は樽に似て楊貴妃のように肥えているので[筒子]、痩身、柳腰の傾国の美女「西施」のようなタイプは竹のようにしなやかなので「索子」、利発で計算高い西太后のような女を「萬子」としたという説もある。
「花牌」は136枚以外の牌だが、現在では、広東式や台湾式で、「春・夏・秋・冬」「牡丹・菊・梅・蘭」など8枚、または16枚をボーナス牌として入れ、プレーしている。これを「花麻雀」と呼ぶ。ボーナス牌の分だけ賭博性が強い。
一方、日本や上海、北京などは陳魚門が整理統合した136枚、花牌なしの落ち着いた麻雀を主としており、これを「清麻雀」と呼んでいる。
現在一般に行われている「飲まない、吸わない、賭けない」をモットウにした「日本健康麻将協会」が主催する健康麻雀の用語は「麻将」に統一されている。
(ちなみに麻雀は中国語でmaqie, 麻将は中国語でmajiang、英語ではmahjongという)
健康麻将はアルツハイマー等の防止、一人、個室にとどまらず社交性の向上につながるとして、各自治体や団地の自治会などの老人クラブでも盛況である。
中国では、体育局の管轄で毎年全国健康競技麻雀大会が開催され、四年に一度は世界大会も開催されている。
古来、中国では一人で楽しむ時は「琴」、二人で楽しむときは「囲碁」、皆で楽しむ時は「麻雀」とされている。
親の死に目にも会えず、はたまた卓上での憤死にならないような、節度ある健康マージャンを楽しんでいただきたいものである。
<麻雀あれこれ>
1.七対子・・・・・元は米国ルール広東式にはない。北京、上海ではあり。
2.緑一色・・・・・all green米国ルールの役満。広東式はあり、北方はなし。
3.一盃口、二盃口・中国ではこの種の上がり役はなし。
4.振聴・・・・・・中国では自分が捨てた牌でも当たれるが、当たるとブーイング
がすごい。
5.鶏・・・・・・・中国式では手牌に役なしであっても、頭と三枚づつの組み合わせ
が出来れば、何でもあがれる。一翻の半分。
6.大車輪・・・・・米国ルール、筒子の面前清一色の七対子、中国にはなし。
日本も公式ルールにない。
7.一気通貫・・・・中国では「一条龍」(イー テイアオ ロン)という。
8.四喜和・・・・・中国では「四喜臨門」(スー シー リン メン)。
風牌の役満、東・南・西・北、全て揃えば「大四喜」。
9.国士無双・・・・中国では「十三麼九」(シー サン ヤオヤコー)
10.九連宝灯・・・中国では「天衣無縫」(テイエン イ ウ フォン)
11.搶 槓 ・・・中国では「金鶏奪食」(ジン ジ ダオ シー)
( )内のカタカナは中国語読み。
栗原道男・・・完・・・