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雑感(東日本大震災に思う⑧)

①やはり訓練は大事だ
 被災地での復旧活動での自衛隊・消防団・警察官の活躍には、改めて敬服した。特に自衛隊の活動は見事で、災害発生後すぐさま出動、燃料・食糧を持参のうえ、一番大事な道路の修復、仮設橋梁の敷設、駐屯地設営、被災者救援・捜索、炊き出し、風呂の提供など、実にキメ細かい救助・支援活動を行った。日ごろからの訓練の賜物であろう。
 (理事 早川成信)

 ある小学校(多分宮古)340人の児童が全員無事だった。津波警報が出るや、女性教師などの誘導で低学年生を高学年生が面倒を見ながらマズ避難、次に中学年生がモレがないかチェックしながら避難、最後に体力のある先生か最終チェックしながら高台に避難した。津波地域であることから、普段から避難訓練を行っていた賜物と、校長先生は云っていた。
 ある村(多分名取)では、普段から災害時には、お年寄り各1人に成年2名の担当をつけ、リヤカーの引き手は誰、後ろから押すのは誰と決めていたとのこと。その上、高台までの道幅をリヤカーが通れるように広げていた。年に何回かはその確認を行い、訓練もしていたとか。そのおかげで、今回の大津波でも全員無事だったとのことである。

 これも聞いた話だが、セブン&アイの対応は見事だった。3月11日14:50には(地震発生は14:46)グループ各社で対策本部を立ち上げ、被災状況が明らかになるやヘリコプターで緊急物資(ミネラルウォーター、菓子パン)を輸送、宮城県に提供するとともに、ヨーカ堂石巻店は18時には営業を再開した。宇都宮で資材調達、輸送を集約し、そこから各地に供給、12日にはヨーカ堂全店営業再開、セブンイレブンも被災600店舗を急速に復旧させた。同社の子会社ヨーク・ベニマルは甚大な被害を受けた(100店舗)が、本社からの応援隊派遣によって、90店舗が営業を再開したとのことである。その間、本社の鈴木会長は一歩も二歩も引き下がり、情報収集と支援活動の進み具合を監視していたという。全ては現場が第一、という会長の理念はこの大災害でも揺るがなかった。ただ一つ、仕入れ値が高くなろうとも、売値は安くすることこそあれ絶対に引き上げるな、という指示をしていたとのことである。必要なものを、必要な時に、妥当な価格で提供する、という同社の精神が生きていると感じ入った。では現場の人達はどう行動したの? と聞いたら、普段の訓練通りに動いた、と事もなげに答えていた。

 今回の大震災・大津波で多くの企業のサプライチェーンに支障を来たした。その後の復旧・生産再開の状況を見ると、各社のBCP(事業継続計画=大規模な自然災害や感染症の流行に備え、緊急時に事業を継続する方法や工場・設備の復旧手順を「事前に」決めておくもの)の徹底具合に大きな差があるように思われる。オフィス・ビルでの火災訓練を見ても、参加するのは総務部だけ、あとは仕事を続けている、という光景が普通だ。

 これだけの大災害、時間とともに「喉元過ぎれば・・」にならないよう心掛けよう。

②避難所の光景から・・・我慢を仕組みに
 大災害から1ケ月強、未だ公民館・体育館などの避難所で過酷な生活を送られている方々が多い。特にお年寄りにとっては何とも厳しいものだろう。TVニュースなどの映像で、わずかに安堵させられるのは、小さい子供が無邪気に遊ぶ様を愛おしそうに見ているお年寄り達の姿、子供たちは子供たちで「肩もみ隊」などを作ってお年寄りの世話をしている姿だ。

 これらの映像を見て、ある人が述べた説がよみがえった。その方によれば、ある文化人類学者の説の受け売りとして、太古の時代、人類が飛躍的に人口を増やすことを可能にしたのは、道具の利用、農業の開発とともに「おばあちゃん」の活躍だった、という。多くの動物は生殖機能がなくなるとともに死滅する運命をたどったが、人類はいつの日からか、女性は命を永らえ、「おばあちゃん」は娘・息子の子供の世話をするようになった、そのことによって、母親も生産活動に従事し、また、第二子、第三子を産み、人口増加を可能にした、というのである。

少子高齢化に悩む今日、この文化人類学者の説には、参考とすべき点が含まれているというのである。ふりかえってみれば、日本もある時期までは大家族主義のもと、おじいちゃん・おばあちゃんが孫たちの面倒をみ、両親は安心して外で働いていた。それが都市化の進展による住宅の制約や、戦前派の姑と戦後派の嫁との価値観のへだたり、などから核家族化が進み、託児所・保育所不足と相俟って、子供の数が少なくなってきた。一方、孤独な高齢者の問題も深刻になってきた。

そこで提案だが、おばあちゃん・パワーを活用する方策を考えたらどうだろうか? 例えば、学童数が少なくなった小学校の一部をディ・ケア・センターとして活用する、あるいは、ディ・ケアー・センターと託児所・保育所を併設したらどうだろうか? 母親は子供を預けて、外で働くことが可能となり労働人口縮小の歯止めとなりうる。おばあちゃん達は子育てのベテランだ。しっかりしつけてくれるし、子供たちも生活の知恵やら、肉体的弱者への思いやりなどを自然に学べる。このところ問題になってきた家庭教育不足を補填してくれる。一方、子供と触れ合うことによって年寄りも生きがいを見出せる。託児料・保育料の一部を介護料に当てれば、社会保障経費の抑制にもなる。

一石何鳥のアイディアと自賛していたが、どうだろうか。

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