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人材の育成―自分を磨く

・日常の「修・破・離」と会社でのO.J.T.
 人の成長の段階を解り易く表したものに、世阿弥の言葉と言われ、能や歌舞伎の世界でも使われている「修・破・離」があります。(理事 津田 晃)

 「修」は師からの教えを忠実に学び、型や作法、知識の基本を習得する段階です。営業の仕事に例えるとお客さまから教えられたり、問題提起を受ける中、一生懸命に対応することで成長する時期です。予想もしない注文が来るかも知れませんが、難しい話でもそれから逃げないで向き合うことです。次の時代を先行する話かも知れません。「磨く」と言うよりむしろ「磨かれる」段階なのです。
 「破」は青虫が蝶に変わっていくように、師の教えを土台としながら学び、経験と鍛錬を積み重ねて自分なりのものを身につけながら変わっていく段階です。会社の中間管理職がこれに当たり、自分も学び磨きながら人を育てていくことの難しさにもぶつかります。苦労を重ねて、考え方のバリエーションの広がりが身についていきます。
 最後に「離」はこれまでに教わった型や知識から離れて、自分独自の世界へ飛翔して行く段階です。正に会社の経営陣ひいては業界のリーダーとして、自分のスタイルを築き周囲への影響力も大きくなっていきます。
 以上の「修・破・離」それぞれの段階での磨き方に加え、会社ではO.J.T.(On the Job Training
職場内訓練・実地研修)と言う教育方法が重要です。アメリカのコーチング協会によると「自分達が成功した理由の約70%はO.J.T.の成果である」とアメリカのエリートたちが答えているそうです。日常の業務を通じて上司・先輩が部下を教育するこの方法は会社という「現場」で、業務という「現実」を通して、商品・サービスという「現物」を扱う、正に「三現主義」の基本であり、極めて判りやすく最も効果が出ると言われています。

・自分なりの高い目標と日々の努力
 「フルスイング」というタイトルでテレビドラマにもなりましたが、プロ野球の元打撃コーチ「高畠導宏」さんの話は、人の成長にとって本当に大切なことを教えてくれています。
 高島さんは1966年読売ジャイアンツからの指名を断り翌67年日鉱日立から当時の南海ホークス(現在の福岡ソフトバンクホークス)へ入団しました。しかし怪我の為早々に現役を引退し20代という異例な若さで打撃コーチへの就任を要請されます。門田選手他多くの名選手を育てた後、7つのプロ野球球団を渡りながら名指導者として開花し、数多くの一流選手を生み出しました。
 2010年の日本シリーズで優勝したロッテの西村監督も、相手チームの中日の落合監督も、大リーグで活躍中のイチロー選手も、この方に育てられました。
 彼はその後教員試験に合格し、58歳で夢であった教師になりますが、わずか1年後に癌のため他界します。そして熱意を持って「生きる」ことを伝える高畠さんの姿とともに「伸びる人の共通点、即ち一流になるための七つの条件」という考え方も次のように伝えられています。
 一、素直であること
 二、好奇心旺盛であること
 三、忍耐力があり諦めないこと
 四、準備を怠らないこと
 五、几帳面であること
 六、気配りが出来ること
 七、夢を持ち目標を高く設定することが出来ること
 昨年スポーツ・イラストレイテッド社が「日本のスポーツ選手で最も評価出来る人は誰か」というアンケートを行いました。その結果、男子の1位はイチロー選手、2位は石川遼選手でした。今、世界で活躍するイチロー選手もゴルフ会の新星である石川遼選手も指導者の力もさることながら、小さい時から高い目標と強い意志を持っていたことがわかります。小学6年生の卒業時に書いた記念作文の中で、イチロー選手は「プロ野球選手になるために3歳から年間360日以上厳しい練習を続け、全国大会でもナンバーワン選手と確信できる成績を残したい」と記し、石川遼選手は「20歳でマスターズ・トーナメントの優勝を果たすために、人の2倍以上練習を重ね、世界一強くてかつ世界一好かれる選手になりたい」と残しています。自分を磨くためには目標を高く持ち、やらなければいけないことが分かっていなければなりません。
 この文章を読まれている皆様も普通に仕事に向い、上司先輩から言われることを聞いているだけでは成長しません。
 与えられたノルマ的な目標でなく、自分なりのレベルの高い目標を揚げて日々努力をしていかなければなりません。
 一流になれるためには人の話から学んで実行し、更には超一流を目指して自分流に工夫を重ねることが大切です。
 『継続は力なり』の言葉は毎日あちこちぶつかりながら磨き磨かれ、魅力的な人間になるための要諦です。
  
  
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≪イチロー 卒業文集より≫

ぼくの夢は一流のプロ野球選手になることです。
そのためには、中学、高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。
活躍できるようになるためには練習が必要です。僕は三歳の時から練習を始めています。三歳から七歳までは半年くらいやっていましたが、三年生の時から今までは三百六十五日中三百六十日は激しい練習をやっています。
 だから、一週間で友達と遊べる時間は五、六時間です。そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球の選手になれると思います。そして、その球団は中日ドラゴンズか、西武ライオンズです。ドラフト入団で契約金は1億円以上が目標です。僕が自信のあるのは投手か打撃です。
 去年の夏、僕たちは全国大会に行きました。そして、ほとんどの投手を見てきましたが自分が大会ナンバーワン選手だと確信でき、打撃では県大会四試合のうちホームラン三本を打ちました。そして、全体を通した打率は五割八分三里でした。このように自分の納得のいく成績でした。だから、この調子でこれからもがんばります。
 そして、僕が一流の選手になって試合に出られるようになったら、お世話になった人に招待券を配って応援してもらうのも夢の一つです。とにかく一番大きな夢は野球選手になることです。
愛知県西春日井郡富山小学校六年二組
     鈴木一朗

≪石川遼 卒業文集より≫

将来の自分
     石川遼
二年後……中学二年生、日本アマチュア選手権出場。
三年後……中学三年生、日本アマチュア選手権(日本アマ)ベスト8。
四年後……高校一年生。日本アマ優勝、プロのトーナメントでも勝つ。
六年後……高校三年生。日本で一番大きいトーナメント、日本オープン優勝。
八年後……二十歳、アメリカに行って世界一大きいトーナメント、マスターズ優勝。
 これを目標にしてがんばります。最後のマスターズ優勝はぼくの夢です。それも二回勝ちたいです。みんな(ライバル)の夢もぼくと同じだと思います。でもぼくは二回勝ちたいので、みんなの倍の練習が必要です。
 みんなが一生懸命練習をしているなら、ぼくはその二倍一生懸命練習をやらないとだめです。ぼくはプロゴルファーになって全くの無名だったら、「もっとあのときにこうしていれば……」とか後悔しないようにゴルフをやっていこうと思います。
 来年には埼玉の東京GCで行なわれる「埼玉県ジュニア(中学生の部)」で優勝したいです。
 今は優勝とかは関係ありません。中学生になってからそういうことにこだわろうと思います。高校生で試合で優勝すると、外国に招待してくれますその試合で世界から注目される選手になりたいです。
 ぼくは勝てない試合には今は出ません。
 ぼくの将来の夢はプロゴルファーの世界一だけど、世界一強くて、世界一好かれる選手になりたいです。

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